
文化の香り立つ雅なひととき――『茶のハーモニー・唐華流彩』大阪中之島美術館にて開幕
2025-06-05
牡丹燕菜(ぼたんえんさい)は、河南省洛陽の伝統的な名菜で、「洛陽水席」と呼ばれる宮廷風料理の代表格です。
見た目は牡丹の花のように美しく、主に上質な白菜や干し貝柱、鶏肉などを用い、透き通ったスープとともに供されます。
美しさと滋味を兼ね備えたこの料理は、千年の歴史を持つ洛陽の味の象徴として、今なお人々を魅了しています。
伝説によれば、唐代に武則天が帝位に就いていたある年の秋、洛陽・東関の野菜畑で、重さ36.9斤(約22kg)もの巨大な白大根が収穫されました。菜農たちはこれを吉兆のしるしと考え、宮廷へ献上しました。
女帝・武則天はこの珍しい大根を見て大いに喜び、御膳房に命じて料理を作らせました。料理人たちは、大根で上品な料理を作るのは難しいと悩みながらも、女帝の命には逆らえず、山海の珍味と組み合わせてスープ仕立ての料理を完成させ、献上しました。
すると、女帝はひと口食べてその風味に驚き、「まるで燕の巣のように繊細で上品な味わいだ」と称賛し、「假燕菜(にせの燕の巣料理)」と命名しました。
これをきっかけに、王公貴族から庶民に至るまで、宴席には白大根を用いた「燕菜」が欠かせない名物料理となっていきました。白大根は他の食材との相性がよく、高級食材とも、卵や肉などの身近な材料とも調和するため、幅広い層に親しまれました。
長い年月の中で、多くの料理人たちの工夫と改良を経て、「假燕菜」はさらに洗練され、ついには洛陽の伝統料理「洛陽燕菜」として知られるようになりました。