
但願う、人の長久なるを――中国各地の中秋のご馳走
2026-09-07


詩を架け橋として日中文化交流を深め、中国への旅行の魅力を伝えるため、2026年9月10日、中国駐大阪観光代表処主催の「天涯共此時」中秋詩会を大阪で開催しました。会場には、西日本地域の文化・友好団体、航空会社、旅行会社の関係者をはじめ、詩を愛する方々など100名を超える来場者が集まりました。開会にあたり、中国駐大阪総領事館の魏有美副総領事と大阪府日中友好協会の小西禎一会長が挨拶を行いました。
詩会は、宋代の伝統的な茶芸「点茶」と古琴曲「流水」の披露で幕を開けました。会場ではAI映像も上映され、伝統と現代を融合させた演出を通して、現代中国のインターネット文化における潮流や、人々が思い描く伝統文化の世界、その多彩な表現方法を紹介しました。
続いて、関西吟詩文化協会の理事が、百人一首にも収められた阿倍仲麻呂の和歌「天の原」と、李白が阿倍仲麻呂のために詠んだ漢詩「哭晁卿衡」を吟詠しました。「天の原」は、長年唐で暮らした阿倍仲麻呂が日本への帰国を前に、故郷を思って詠んだと伝えられる和歌です。一方、「哭晁卿衡」は、阿倍仲麻呂を乗せた帰国船が難破したとの誤報を受け、李白がその死を悼んで詠んだ作品です。二つの作品を通して、阿倍仲麻呂が唐で過ごした日々や、李白との間に育まれた海を越える深い友情が紹介されました。
詩吟に続いて、「日本における漢詩の創作」と「唐詩の伝来と日本文化への昇華」をテーマに、専門家による講話が行われました。
本詩会では、8月初旬から「平和友誼」「相思団楽」「山水風物」「追昔望来」の4つのテーマを設け、文化機関、各種協会、学生団体、友好団体などを対象に詩作品を募集しました。五言・七言の漢詩をはじめ、和歌、宋詞、現代詩など、さまざまな形式の作品が約60点寄せられました。
会場では、優秀作品に選ばれた作者が、自身の日中文化交流や中国留学、中国各地を旅した経験を振り返りながら、作品が生まれた背景や、詩に込めた思いを語りました。また、応募作品の中から選りすぐりの作品をポストカードに仕立て、詩会の記念品として配布しました。
より多くの日本の方に中国を訪れてもらうため、日本の小・中学校の教科書で学ぶ漢詩をテーマに、4つの研学旅行コースを企画しました。今回発表したのは、「長安・詩情をたどる旅」「江南・詩情をたどる旅」「長江・詩情をたどる旅」「巴蜀・詩情をたどる旅」の4コースです。詩に詠まれた土地を実際に訪ねながら、中国各地の歴史や文化、美しい風景に触れる旅となっています。今後は、漢詩の愛好者や関連団体、小・中学校などに向けて、各コースを紹介していく予定です。
会場にはこのほか、漢詩や和歌の対詩・創作体験、書道作品の展示・体験、中国茶や新中式月餅の展示など、中秋の文化を身近に感じられる多彩なプログラムも用意されました。
来場者は中国茶と月餅を味わいながら作品を鑑賞し、言葉を交わし、それぞれの形で中秋節の風情を楽しみました。詩や伝統文化を通じて、人々が心を通わせる温かな一日となりました。