「天地之中」歴史建築群は、河南省鄭州市登封嵩山(すうざん)の山岳にあり、嵩山歴史建築群とも呼ばれる。嵩山三闕銘(すうざんさんけつめい)と中岳廟、嵩岳寺塔、少林寺建築群(常住院、初祖庵、塔林)、会善寺、嵩陽書院、観星台など、漢、魏、唐、宋、元、明、清時代に建てられた8ヶ所11件の歴史的建造物が世界遺産に該当となった。
「嵩山三闕」とは、漢時代の118年から123年にかけて建てられた嵩山太室廟の石闕、少室廟の石闕、開母廟石闕のことで、廟はいずれも廃れ、石闕のみが残されている。隷書が公式書体であった漢代にあって、極めて珍しい篆書による金石文である。3つとも全て現在も建造地に残されている。
「中岳廟」は太室山南麓の黄盖峰にあって、前漢の武帝が嵩山を見物した時、祠宮を大規模に建造させた。現存する廟の構造は明時代のもので、廟の大部分は清時代に改修されたもの。中岳廟の敷地面積は117000㎡あまり、現存する中国五岳の中で最大規模の歴史的建築群である。
「嵩岳寺塔」は嵩山南麓に位置し、北魏の520-525年に建てられた中国で現存する最も古いれんがの塔である。塔は台座、塔身、塔刹からなり、十二辺形、高さは36.78mある。1490年を経た人類古建築史の典範である。
「少林寺初祖庵」は宋時代の少林寺僧侶が仏教禅宗の開祖―菩提達磨を記念するために建造した建物で、常住院西北にある亀の背中のような形の丘にある。大殿は北宋時代に建造された建物で、他の建物は明、清以降に改修された。また、庵内には宋、金以降の碑碣が40あまりある。
「少林寺塔林」は少林寺院の西にあり、少林寺歴代高僧の墓地である。塔林には唐、五代、宋、金、元、明、清7時代の古塔228あり、そのうち単層単嘛塔,単層密檐塔,印度窣堵波塔と各種喇嘛式塔がある。
「嵩陽書院」は北魏太和8年(484年)に建てられ、宋景祐2年(1035年)改修後、名を嵩陽書院と改めた。河南 睢(スイ)陽書院(応天書院も呼ばれる)、湖南岳麓書院、江西白麓洞書院とともに中国四大書院と称される。
「観星台」は登封市告成鎮の北側に、元世祖至元13年~16年(1267-1269年)に建てられた。中国で最も古い天文台である同時に、世界的にも天体の現象を観測する最も早い建築物の一つである。