赤い砂礫岩の集中した、地球進化のプロセスを示すカルスト状地形を丹霞(たんか)と呼ぶ。代表的な6つの地域、広東省の丹霞山、福建省の泰寧、江西省の龍虎山、湖南省の莨山、浙江省の江朗山、貴州省赤水が、「中国丹霞」として世界自然遺産に登録された。
広東省丹霞山は広東省韶関市の仁化県と曲江県が接する地区にあり、面積は290k㎡。主峰である巴寨の海抜は618m。丹霞盆地の南西の果てではネアンデルタール人の頭骨の化石が発見され、早期のホモサピエンスを研究するうえで重要な糸口となっている。獅子岩にある石峡文化遺跡は6000年前の新石器時代後期の古人類文化遺物である。
丹霞地形の中で最大規模を誇る福建省泰寧の丹霞地形。高さ100mを超す垂直に切り立った絶壁、無数の穴を持つ不思議な岩肌の巨岩、動物の形に似たユニークな奇岩の数々、泰寧丹霞の岩山は「中国丹霞」の中で典型的な特徴を持っている。
江西省龍虎山は江西省鷹潭市の南16kmに位置し、総面積は380k㎡、龍虎山は丹霞地形の標本のような奇峰が連なっている。また、龍虎山の仙水岩の断崖絶壁には無数の懸墓遺跡があり、棺の数は100を超える。すべて象嵌細工がほどこされて絶壁に納められており、懸棺群全体をみると、まるで巨大な絵巻物のようにみえ非常に神秘的である。
浙江省江郎山は江山城の南25km の江郎郷に位置し、岩、穴、雲、滝が一つの山に集まって、壮観である。山頂に切り立った三つの大きな石があり、高さは369.1m 、外見は石筍に似て、北から南に向かって見ると「川」という文字に見える。「郎峰」「亜峰」「霊峰」の順で、「三爿石」と言われる。山々は広々としていて雲霧がいつも立ち込めているため、空と山が一体となり、景色が素晴しい。
湖南省崀山は湖南省西南部の新寧県内にあり、総面積は約108k㎡である。奇岩怪石が連なる山々や美しい渓谷の景観に、緑豊かな自然を堪能することができる。特にたくさんの峰は、まるでクジラが群れているように見えておもしろい。また銀杉、華南虎、ウンピョウ(雲豹)、ジャコウネコ(霊猫)など絶滅危機に瀕している動植物が生息している。崀山には10万年前のアカゲザルの頭骨化石や4500年前の新石器時代の遺跡もある。
貴州省赤水は貴州省貴陽市から450km、四川省成都市から340km、重慶市からは270kmにあり、十丈洞、四洞溝、丙安をはじめ7つの区分がある。豊富な水資源と変化に富んだ地形が落差3m以上の滝を実に数千ヶ所も創り出しており「滝の故郷」と呼ばれる。トレッキングが気持ちいい。広い面積に古い植生と2359種の動植物や絶滅危惧動物を有している。